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量子コンピューター企業ラティス、 暗号通貨を用いた資金調達ICOを開始。量子コンピューターのブロックチェーン応用を加速させる


エストニアのLattice(ラティス)は、世界で初めて格子暗号を使った量子コンピューターの実装に成功したIT企業。ラティスは、2018年4月末より暗号通貨を用いた資金調達を開始した。調達した資金は、量子コンピューターの追加の実証実験や、ラティスチェーンの普及活動などに利用する予定。

 量子コンピューターのブロックチェーン応用に力を入れているエストニアのIT企業「ラティス」は暗号通貨を利用した資金調達を開始すると発表した。ラティスは、「量子コンピューターは既に存在する技術だが、応用できる範囲は限られている。その中で真っ先に利用可能な対象にブロックチェーンがある。我々はそれを世界で最初に実現する予定」と意気込んでいる。

 ラティスは、エストニアにあるIT企業であり、10人のエンジニア、物理学者、数学者で構成されたメンバーである。彼らの元々の本業は、金融工学を利用したヘッジファンドであったが、数年前よりブロックチェーンの可能性に気づき、フィンテック分野の研究も進めていた。その中で、彼らは量子コンピューターのブロックチェーン応用を進めていた。

 今回、ラティスは暗号通貨を用いた資金調達ICOで日本円で5億円ほどの調達を見込んでいる。その資金を利用してラティスは、量子コンピューターの追加実験、既存のラティスチェーンの普及などを行う予定と発表している。

 ラティスは二軸を持ってこのプロジェクトを遂行している。まず新しい暗号方式を利用してブロックチェーンを管理する点である。これは、現在使われているRSA暗号ではなく、格子暗号という格子を基本とした構造は現在、ポスト量子暗号の重要な候補である。量子コンピュータによって容易に攻撃されるRSA、Diffie-HellmanまたはElliptic-Curve暗号システムなどの広く使用されている既知の公開鍵スキームとは異なり、いくつかの格子ベースの構造は、古典的および量子コンピュータによる攻撃に対して耐性がある。さらに、多くの格子ベースの構造は、十分に研究された計算格子問題を効率的に解くことができないという仮定の下で安全であることが知られている。ラティスは、格子暗号を使ったブロックチェーンを既に開発しており、ソースコードをウェブ上に公開している。このラティスチェーンの実験として、1000ノードを建てたブロックチェーンを稼働させる予定であり、それらの資金にICOで集めた暗号通貨を充当する予定だ。

 二つ目の点として、ラティスは、量子コンピューターから守るブロックチェーンだけではなく、量子コンピューターを利用してブロックチェーンを高速化させる。現在、クレジットカードでは、1秒間に5000件以上のトランザクションが行われる。しかし現状のブロックチェーンでは、1秒間に処理できる件数には限りがあり、これでは世界中の利用者が同時にブロックチェーンを使うことができない。ラティスは、量子アニーリングを利用して、この速度を劇的にあげることに理論的に成功してる。ICOで調達した資金はこの量子アニーリングのコンピューターで実験をするために使われる予定だ。

 ラティスは4月末から2ヶ月に渡り、国内外にてICOを行う予定である。量子コンピューターに関連するICOは複数既に存在するが、それらは全て科学的に根拠の少ないプロジェクトであった。しかしラティスは、ソースコードをウェブで一部公開するなどかなり本格的に実現可能なプロジェクトに思える。


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