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自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)


最近、一部の出願人の方から他人の商標の先取りとなるような出願などの商標登録出願が大量に行われています。しかも、これらのほとんどが出願手数料の支払いのない手続上の瑕疵のある出願となっています。

このような出願について、平成28年5月17日付け「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」において、自らの商標を他人に商標登録出願されていたとしても、ご自身の商標登録を断念する等の対応をされることのないようお知らせいたしました。

この度、平成30年6月9日に施行された改正商標法により、もとの出願が手数料未納により却下されたときは、分割出願の出願日はもとの出願の出願日には遡及しないこととなりましたので、お知らせいたします。

特許庁では、このような出願については、出願の日から概ね4~6カ月で出願の却下処分※1を行っていますが、これまでは、このような出願をもとの出願とした分割出願が行われた場合、分割出願の効果(出願日の遡及)により、もとの出願が却下された後も事実上もとの出願が残り、後に出された出願の早期登録が難しい場合がありました。

しかし、平成30年6月9日に施行された改正商標法により、もとの出願が手数料未納により却下されたときは、分割出願の出願日はもとの出願の出願日には遡及しないこととなりました。

この法改正により、分割出願があっても、後に出された出願を従来より早く登録することが可能になります。

法改正の詳細は「商標登録出願の分割要件が強化されます」のページをご覧ください。

分割出願が無い場合


分割出願がある場合

平成30年6月9日より前に分割出願が行われた場合

平成30年6月9日以降に分割出願が行われる場合

また、仮に出願手数料の支払いがあった場合でも、出願された商標が、出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書)※2や、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合(同法第4条第1項各号)※3には、商標登録されることはありません。

したがいまして、仮にご自身の商標について、このような出願が他人からなされていたとしても、ご自身の商標登録を断念する等の対応をされることのないようご注意ください。

なお、これらの出願についても、出願公開公報やJ-PlatPat※4にて公表されますが、当該情報はあくまでも商標登録出願がなされたという情報の提供であり、これらの出願に係る商標が商標登録されたことを示すものではありません。

商標制度の利用者の皆さまにおかれましては、上記に関連してご不明な点や気掛かりな点などございましたら、下記の問合せ先までご連絡ください。

  • ※1: 特許庁では、出願手数料の支払いを失念した等の手続上の瑕疵のある出願でも、まず出願を受け付けて、一定の期間内に出願手数料の支払いの機会を設けるとともに、出願人が出願手数料を支払う意思のないことを確認したうえで出願を却下処分としています。この場合、その出願は最初からなかったものとされます。

  • ※2: 一個人や一企業等が本来想定される商標の使用の範囲を超える多数の出願を行う場合には、商標を自己の業務に使用する蓋然性が極めて低いものとして、商標法第3条第1項柱書の拒絶理由に該当し登録できません。

【商標法第3条第1項柱書】 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

(参考判決) 商標の使用に関して、近時の裁判例において、他者が使用する多数の商標を一個人が出願した場合に、当該個人に将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思があったと認め難いとの判断が示されています。

◯「アールシータバーン」事件:平成24年(行ケ)10019号・平成24年5月31日 要旨:http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/315/082315_point.pdf(PDF、外部サイトにリンク) 全文:http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/315/082315_hanrei.pdf(PDF、外部サイトにリンク)

  • ※3: 他人が既に使用している商標について先取りとなるような出願の場合や、国・自治体等の公益的な標章を関係のない第三者が出願する場合には、商標法第4条の拒絶理由に該当し登録できません。

【商標法第4条第1項】 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。 (略) 六 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標 七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標 八 他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。) (略) 十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの (略) 十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

  • ※4: J-PlatPat(特許情報プラットフォーム) 特許庁が発行してきた特許・実用新案、意匠、商標に関する公報や外国公報に加え、それぞれの出願の審査状況が簡単に確認できる経過情報等の特許情報を提供するサービス。 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage(外部サイトにリンク)

[更新日 2018年6月8日]

お問い合わせ

特許庁審査業務部商標課企画調査班

電話:03-3581-1101 内線2805

FAX:03-3580-5907

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