日本商工会議所(三村明夫会頭)は、本日開催の第677回常議員会にて標記意見を決議しました。
本意見書の概要は次のとおりです。
【基本認識】
人口減少時代を迎える中、地域経済の持続的発展のために、中小企業の競争力の維持・向上が求められている。このような地域・中小企業の現下の最大の経営課題は人手不足であり、ITやIoTなどの活用による生産性向上が有効である。しかしながら、中小企業の多くでは、(1)初期コストが高い、(2)効果がわからない、(3)ITがわかる人材がいない等の理由により、十分な活用が進んでいない。
【意見概要】
政府は本年2月、向こう3年間の「中小企業100万社IT支援」のためのプラットフォームを設立しており、その支援の柱である「IT導入補助金」をはじめとする施策の継続展開を求める。また、こうした支援が実効性のあるものとなるように、ITベンダー主導ではなく、中小企業自らが取り組むIT活用を推進するために、中小企業の「業務プロセスの見直し」を継続支援する専門家派遣制度の創設を提案する(ドイツでは、中小企業の「インダストリー4.0」対応のための施策「Go Degital補助金」がある)。
ものづくり中小企業のIoTへの取り組みを支援するために、自社の規模に見合う、安価で使いやすい「身の丈IoT」を活用して、町工場に残る「昭和の機械」の稼働率を上げ、生産性向上を実現するために、「身の丈IoT」活用事例の提供機能の強化や、スマートものづくり応援隊の設置拠点を中心とした最新のIoT・ロボット等の「体験スペース」の設置を求める。
IT活用が進まない一因である、中小企業のIT専門人材の不足を解決するために、ユーザー中小企業の経営者・従業員や、商工会議所等の経営指導員のIT活用能力向上に対する支援の充実とともに、ITベンダー・大企業OB等の専門人材を中小企業に供給する仕組みづくりを求める。
○地域・中小企業におけるIT・IoT等の活用推進に関する意見(概要)
○地域・中小企業におけるIT・IoT等の活用推進に関する意見(本文)
主な意見項目は以下のとおりです。
1.中小企業100万社IT支援の継続展開
(1)業務プロセス見直しを継続支援する専門家派遣制度の創設
(2)中小企業経営者に気づきを促す「IT導入補助金」の継続と利便性の向上
2.ものづくり中小企業のIoT・ロボット・AI等の導入支援
(1)「身の丈IoT」活用事例の提供機能の強化
(2)IoTやロボットの最新機器を備えた体験スペース等の設置
(3)IoT専門家を養成して中小企業に派遣するスマートものづくり応援隊の強化
(4)製造分野でのAI・ロボットの活用支援
3.サービス分野のIT・IoT・AI活用の推進
(1)運輸・建設・小売・農業・観光等のIT・IoT・AI等の活用事例の普及
(2)インバウンド需要に対応した地域観光産業等のキャッシュレス決済の導入支援
(3)買い物弱者など地域課題を解決するシェアリングサービスの推進
4.中小企業人材のIT活用能力の向上、IT支援人材の育成
(1)ユーザー中小企業の経営者・従業員のIT資格取得の奨励と支援の充実
(2)経営指導員のIT資格取得に対する補助制度の創設
(3)ITベンダー・大企業OB等の専門人材の中小企業への供給促進
5.中小企業の取引(サプライチェーン)のデジタル化(EDI等の普及)推進
(1)金融EDIとの連携を契機とした中小企業共通EDIの普及への支援
(2)大企業等の取り組み奨励(ゲートウェイ接続、API連携)
(3)政府・地方自治体による公共調達の電子化の推進
6.中小企業の情報セキュリティ対策の促進
(1)中小企業のセキュリティ意識の向上(ワンストップ相談対応・復旧支援体制の構築、
SECURITY ACTIONの周知)
(2)安価で強固なセキュリティサービスの開発・提供
■2018年7月19日、中小企業庁・前田泰宏次長へ日本商工会議所・西村貞一中小企業委員長(大阪商工会議所・副会頭)から意見・要望を手交(平成31年度中小企業・地域活性化施策に関する意見・要望と併せて手交)
https://www.jcci.or.jp/news/2018/0719155718.html