2019年卒の学生の面接が解禁された6月、すでに2020年卒の学生を対象としたインターンシップがスタートした。(株)ヒューマネージの調査によると、4割以上の企業がインターンシップの情報提供/参加受付を昨年より前倒しでスタート。2020年卒の新卒採用は、早くも早期化の様相を呈している。特に中小・ベンチャー企業で早期化の傾向がみられ、学生優位の“売り手市場”が続き、学生の大手志向が高まるなか、少しでも早く自社を知ってもらいたいという強い意向が窺える。
人的資本経営(Human Capital Management)の哲学に基づく人材サービス事業を展開する株式会社ヒューマネージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:齋藤 亮三、以下ヒューマネージ)は、主に2020年3月卒予定の大学生、大学院生を対象としたインターンシップについて、企業動向をまとめた調査結果を発表した。
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http://www.humanage.co.jp/upfile/tpcs/tpcs_63.pdf
学生優位の“売り手市場”が続くなか、4割以上の企業が
インターンシップの情報提供/参加受付を前倒しでスタート。
最新の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は、1.88倍(2019年3月卒対象)。直近の3年間は、1.74倍→1.78倍→1.88倍と推移しており、学生優位の“売り手市場”が加速している。採用側の企業にとっては厳しい状況が続いており、特に300名未満の中小企業の求人倍率は9.11倍と、1人の学生を10社が奪い合う状況となっている。(*1)
(*1)リクルートワークス研究所「第35回 ワークス大卒求人倍率調査」(2018年4月26日)
そのようななか、早くから学生に自社を知ってもらう施策として「インターンシップ」が注目を集めている。ヒューマネージの調査では、2020年3月卒の学生を主な対象としたインターンシップを予定している企業のうち、9割以上(91.5%)が6月までに自社のインターンシップサイトを公開し、情報提供/参加受付を開始。また、4割以上の企業がインターンシップサイトの公開時期を昨年より早めており、「3ヶ月以上6ヶ月未満」前倒した企業が最も多いことがわかった。
インターンシップサイトの公開時期;
[対象]ヒューマネージが提供する採用管理システム「i-web」を継続してご利用の企業様のうち、昨年・今年ともインターンシップを開催する企業様(以下同じ)
インターンシップサイトの公開状況(昨年比);
昨年より、早めた(早める予定) 41.5%
昨年と同じ時期 52.3%
昨年より、遅くした(遅くする予定) 6.2%
インターンシップサイトの公開を「昨年より早めた(早める予定)」企業の内訳;
1ヶ月未満、早めた(早める予定) 29.6%
1ヶ月以上~3ヶ月未満 27.8%
3ヶ月以上~6ヶ月未満 38.9%
6ヶ月以上、早めた(早める予定) 3.7%
前倒し傾向は、中小・ベンチャー企業で顕著。
学生の「大手志向」の高まりに対し、認知向上の施策として期待。
インターンシップの情報提供/参加受付を早める傾向は、特に中小・ベンチャー企業で顕著に見られる。インターンシップサイトの公開を昨年より前倒しした企業は、大手・人気企業群では3割程度(約34.8%)であるのに対し、中小・ベンチャー企業群では、6割近く(約55.8%)。前述の通り、大卒求人倍率が高止まりし、採用に苦戦するなか、少しでも早く自社を知ってもらいたいという強い意向が窺える。
インターンシップサイトの公開状況(企業規模別);
●大手・人気企業●
昨年より、早めた(早める予定) 34.8%
昨年と同じ時期 63.0%
昨年より、遅くした(遅くする予定) 2.2%
●中小・ベンチャー企業●
昨年より、早めた(早める予定) 55.8%
昨年と同じ時期 38.5%
昨年より、遅くした(遅くする予定) 5.8%
弊社の考察―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
インターンシップは、現在、学生の認知向上・自社理解の機会として、多くの企業様で実施されています。特に、昨年は、経団連のルールでインターンシップの日数規定が廃止されたこともあり、「大手・人気企業の約9割がインターンシップを実施」(*2)「学生のインターンシップへの応募は、昨年比1.2倍」(*3)と、活況を呈しました。
今回の調査では、今年(主に2020年3月卒の学生が対象)、企業側のインターンシップの動き(情報提供/受付開始)が早まっている傾向が見られましたが、インターンシップの多くが(1)「業界のこと」「働くこと」について情報提供し、気づきを与えるプログラムであること、(2)参加は任意であることをふまえれば、早期化=ネガティブなものではないと思われます。特に中小・ベンチャー企業様にとっては、大手志向が強まっている学生へ、自社を知ってもらう有効な手立てとなりえるでしょう。
一方で、インターンシップの開催数は増えるものの、学生の参加企業数には限りがあり、「実施するものの、学生が集まらない」ケースも多くなると予想されます。企業様にとっては、「インターンシップをどう知ってもらい、参加してもらうか?」が、今年の課題になるものと考えられます。
(*2)ヒューマネージ「採用ご担当者様アンケート」より(対象:2017年7月、9月弊社セミナーご参加者)
(*3)ヒューマネージ「マンスリーヒューマネージレポート(2018年2月号)」より(対象:弊社が提供する採用管理システム「i-web」ご利用企業)