アンケート調査「高齢期の自立生活に必要な備えとは?」
高齢期のライフスタイルの充実に関する研究・提言を行っております、特定非営利活動法人「老いの工学研究所」(大阪市中央区)は、「高齢期の自立した生活」に関するアンケート調査を実施し、65歳から91歳まで263名の回答を得ましたので、その結果についてお知らせいたします。なお、要介護度の高い高齢者と日ごろ接している、現役の老人介護施設の職員64名にも同じ質問を行い、自立した高齢期を過ごすためのポイントについて、考え方の違いについて分析しております。
1.男性高齢者の自立生活は“配偶者頼み”
本アンケートでは、『高齢になっても自宅で自立した生活を続けるためには、若いうちに(50~60歳代の頃から)、どのような備えをしておくことが必要だと思いますか?』と質問し、8項目について、「そう思う」「ややそう思う」「どちらとも言えない」「あまりそう思わない」「そう思わない」の5つから一つを選択していただきました。
8項目について、「そう思う」「ややそう思う」と回答した割合の合計(男女別)は、上表のようになりました。
「結婚している(世話をしてくれる配偶者がいる)」では、男女で約30Pの差がつきました。男性の3人に2人が、家事や身の回りのことを自分で行う自信がなく、高齢期に配偶者がいないと困る状況であるものと考えられます。
そのほか、「子や親族との良好な関係」「人との交流がある環境」で、女性が比較的多くなっており、高齢期の自立生活への備えとして、女性はより人間関係を重視する傾向が見られました。
2.介護職員が考える、高齢期に自立生活を営むポイントは「人間関係」
一般の高齢者に比べて、介護職員が重視している項目は、「結婚している(世話をしてくれる配偶者がいる)」がもっとも大きく、約12P。次いで、「子や親族との良好な関係」「人との交流がある環境」となっています。逆に、介護職員に比べて、一般の高齢者が重視している項目は、「蓄えがあること、お金を持っていること」で約8Pの差がありました。
要介護度の高い高齢者と接している介護施設の職員も、高齢期の自立生活への備えとして、「人間関係」が重要であると考えていることが分ります。
生涯、自宅で自立して暮らすことは多くの高齢者の願いですが、そのためには「健康やお金だけでなく、配偶者や親族との関係、地域などでの人間関係を良好に保っておくことが重要である」と、特に男性は改めて認識する必要があると考えられます。
【調査概要】
・調査期間:2018年3月25日~5月20日。
・調査方法:郵送
・回答者 :高齢者263名(65歳~91歳。男性114名/女性149名)、介護施設職員64名
<お問い合せ先>
特定非営利活動法人「老いの工学研究所」
大阪市中央区伏見町四丁目2番14号
理事長 川口 雅裕
TEL:06-6223-0001