7月18日、会員セミナー「社会的事業・社会起業家が必要とする支援とは-『社会課題の解決を支えるICTサービス大賞』のねらい」を開催しました。
事業活動を通じて社会課題の解決を図る社会的事業や社会起業家は、様々な企業や個人から支援を受けつつ、日々の活動を行ったり、更なるスケールアップを図ろうとしています。
こうした中、本セミナーでは、
● 社会的事業や社会起業家が直面している課題にはどのようなものが多いのか、
● 課題解決のため、企業等はどのような支援を行うことができるのか
といったことをお話いただくとともに、『社会課題の解決を支えるICTサービス大賞』の取組やねらいについてご紹介いただくことを目的に開催することとしたものです。
今回講師をご担当頂いたのは、「社会課題の解決を支えるICTサービス大賞実行委員会」の、石原達也様、小堀悠様、宝楽陸寛様です。
まず、石原様より、今回の西日本豪雨災害を例に、
● 災害などの非常時には、例えば限界集落の問題や発達障害の子どものケアなど、平常時からの社会課題がより大きく露呈しやすいことや、
● 支援を受けたい人と支援をしたい人とのマッチング、必要としている物資と送ることができる物資とのマッチング等がうまくいかない場合があること
などについてご指摘をいただきました。そして、その上で、ICT技術を活用することでこれらのマッチングをうまく図ることができるようになる可能性や、社会課題の解決に向けた「仕組み」づくりの重要性についてお話をいただきました。
石原達也様
また、小堀様からは、CSRやCSVと同時に、企業が本業で持っているサービスや商品をNPO等に投入する「BtoN(Business to Nonprofit)マーケット」を拡大し、社会課題解決に向けて第一線の取組を行っているNPO等のマネジメントの効率性を向上させたり、テクノロジーの活用によって社会課題の解決を図っていく必要性についてご指摘をいただきました。
小堀様によれば、NPO等を支援する側の企業も、単純にNPO等を顧客として見るだけでなく、NPO等を通じて多様な関係者へのアプローチが可能になることや、企業ビジョンの実現にも資するなどの観点から、積極的にNPO等を支援するインセンティブを有しているとのことであり、こうした取組を広げていくことが企業側にとってもNPO等にとっても有益であるとのことです。
小堀悠様
最後に、宝楽様から、アメリカではNPO等によるテクノロジーの活用は、その専門の全国規模のカンファレンスが開催されるなど一大分野としての地位を占めていることや、NPO等の運営改善に役立つアプリ(DV被害者と支援コーディネーターのマッチングを効率化するSafeNight)、直接的に社会課題の解決を目的としたアプリ(生活困窮者向けに無料での食料支援を行っている場の情報提供等を行うRange)等の具体例をご紹介いただきました。また、その上で、日本でも「社会課題の解決を支えるICTサービス大賞」(「社会課題解決部門」「NPO運営支援部門」「災害支援・緊急救援部門」の3部門により構成)を創設することにより、NPO等の組織の枠を超えてテクノロジー活用がさらに広がり、ノウハウが共有できるようになることを目指していることについてお話いただきました。
宝楽陸寛様
社会的インパクト投資等の市場が広がりつつある中、日本の社会課題解決に向けて第一線で活動している社会的事業のあり方も少しずつ変化を見せています。そうした中、社会課題の解決に向けたテクノロジー活用の裾野がますます広がっていくことで、さらに世界はよい方向に向かっていくことを確信しました。
今回お集まりいただいた会員の皆様、ご質問いただいた皆様、そして講師の石原様、小堀様、宝楽様、どうもありがとうございました。
■参考:
社会課題の解決を支えるICTサービス大賞 http://npo-ict-award.jp/
以上