後継者不足により地方都市が存続の危機に
~外部からの後継者募集と事業承継M&Aサービスを同時に提供~
株式会社ビズリーチ(所在地:東京都渋谷区/代表取締役社長:南 壮一郎 以下、ビズリーチ)は、2018年7月24日、石川県七尾市の中小企業の経営支援を行う七尾街づくりセンター株式会社(所在地:石川県七尾市/代表取締役:濱 暉元)と事業承継プロジェクトを開始します。七尾市で後継者を探している事業者に対して、外部からの後継者募集と事業承継M&Aのサービスを同時に提供します。民間企業が後継者募集と事業承継M&Aのサービスを同時に提供する先進的な取り組みを通じて、七尾市の事業者により多くの経営の選択肢を提供してまいります。
【事業承継プロジェクト概要】
7月24日、ビズリーチが運営する求人検索エンジン「スタンバイ」上に、後継者を探している七尾市の15事業者が後継者や経営幹部を募集する求人サイトを開設。(https://jp.stanby.com/feature/nanaocity)
同日、首都圏在住のビジネスパーソン約30人を対象に、七尾市の4事業者による後継者募集イベントを開催。事業者による事業説明の後、参加者と各事業者の代表との交流会、個別相談会を実施。
経営の選択肢として事業承継M&Aも視野に入れるために、4事業者向けに事業承継セミナーも同日開催。ビズリーチが運営する事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」に登録(任意)。
2025年には七尾市の企業の約3割が廃業、七尾市の存続の危機
七尾市は能登半島のほぼ中央に位置する天然の良港である七尾港を中心に発展。江戸時代から明治時代には廻船問屋も多く存在し、寄港地として栄えました。現在は観光業、農業・漁業、食品加工業、繊維業が中心です。人口減少時代を迎え、過去18年間で1,299の事業所が廃業し、現在では約3,500事業所になっています※1。経営者の多くがこの数年で引退を迎える団塊世代以上であり、2025年の残存企業割合(全国)から推計すると、2015年対比で約3割(1,150事業所)が廃業すると予想され、七尾市は存続の危機に関わる重大な局面を迎えています。
こうした状況をふまえ、県内だけで承継者を探すのは難しいため、七尾市はこのたび、ビズリーチが提供する新サービスを利用することとなりました。首都圏のU・Iターン希望者を募集するために東京・渋谷でイベントを開催し、後継者を募集する求人サイトも開設します。また、イベント当日に、事業者向けの事業承継セミナーを開催。ビズリーチが運営する事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」の担当者が、4事業者に対して事業承継M&Aの方法や進め方などについて話しします。
後継者不足の解決に向け、後継者候補の採用とともに事業承継も視野に
経営者が事業を次世代へ承継するには、1)親族や従業員への承継 2)外部人材の採用 3)他企業への事業承継という3つの選択肢があります。ビズリーチは、2と3を同時に提供することで、経営の選択肢の最大化を支援し、価値ある事業を未来につないでいくことを目指します。
後継者募集イベントに参加する事業者(五十音順)
天池合繊株式会社:パリコレなどで海外高級ブランドに採用される世界最軽量の生地の製造・販売
特定非営利活動法人 野の花:障がい福祉サービス事業所(就労継続支援B型)「ゆうの丘」の運営
道田農園:店頭価格1個3,000円以上で売れる高級しいたけ農家
湯川温泉 龍王閣:日本温泉遺産に選ばれた温泉宿
「スタンバイ」上に開設した求人特集サイトトップページ
株式会社ビズリーチ 地域活性推進事業部 チーフプロデューサー 加瀬澤 良年 コメント
ビズリーチは創業以来、インターネットによる採用市場の可視化に取り組み、「ダイレクト・リクルーティング」の推進を通じて、累計8,600社以上(2018年7月時点)の企業の採用を支援してまいりました。また2014年以降は、60以上の自治体との連携・委託事業において各地域の中小企業の後継者採用も支援してまいりましたが、そのなかで、価値ある事業を未来につないでいくには、後継者採用の支援に加え事業承継の支援も不可欠であることを目の当たりにしました。そこで、経営者が自社の市場価値を知り、経営の選択肢の一つとして、事業承継M&Aを早期から検討できる場をつくりたいと考え、2017年11月、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」を立ち上げました。
事業承継は大変難しい課題であり、どのような形が正解なのかはまだわかりません。特に課題なのは、差し迫った状態になってから解決策を求める事業者が多いことです。しかしそれでは遅く、経営の選択肢として早期からさまざまな可能性を検討することが重要であり、外部からの後継者採用と事業承継M&Aの両方を同時に検討することは、事業者の承継実現の可能性を高めるものだと考えます。そこでこのたび、外部からの後継者募集と事業承継M&Aのサービスを同時に提供することによって、事業承継における経営の選択肢を最大化し、価値ある事業を未来につないでいけるよう、取り組んでまいります。
七尾街づくりセンター株式会社 戦略アテンダント 友田 景 コメント
七尾市が出資する七尾街づくりセンターは、七尾の産業を底上げし、経済の地盤沈下を防ぐことを目指しています。七尾市では、年間50社以上の事業所が減少するなかで、具体的には以下の3つのことに取り組んでいます。(1)七尾市内企業の廃業数・倒産数を減らす(2)若者が働きたい仕事を残す(3)一次産業や繊維業、観光業など、七尾市として残したい企業を守る。しかし、若者の人口流出が進むなか、市内で事業を引き継ぐ人材を探すのは容易ではありません。そこでこのたび、ビズリーチと当取り組みを実施することになりました。ITを活用し、全国から広く募集することで、一人でも多くの後継者が見つかることを期待しています。
■参考:日本の中小企業の経営者は2025年に6割以上が引退、その約半数にあたる127万社が後継者未定
日本の中小企業の経営者は2025年に6割以上(約245万人)が引退時期を迎え、現在その約半数にあたる127万社(日本の企業の約3割)が後継者未定の状態にあるといわれています※2。後継者不足の影響を受け、休廃業・解散件数は年々増加し、2016年には2000年の2倍近い約3万件となりましたが、その約5割は経常黒字でした※3。経済産業省の試算によると、黒字廃業が続けば2025年までに累計で約22兆円の国内総生産(GDP)と約650万人の雇用が失われると予測されており※4、特に地方における事業承継が課題となっています。
後継者募集イベントの参加事業者について(五十音順) 天池合繊株式会社:パリコレなどで海外高級ブランドに採用される世界最軽量の生地の製造・販売
髪の毛の5分の1程度の細さの糸を織った世界最軽量の極薄オーガンジー「天女の羽衣」(1平米あたり5g)を開発。パリコレに参加する海外高級ブランドが採用するなど、トップ技術を誇る世界のMade in Japanブランドとして認められる。米国人女優のサンドラ・ブロックがゴールデン・グローブ賞の授賞式で「天女の羽衣」を使ったドレスを着たこともある。合繊の産地である北陸、石川県に1956年創業。繊維製品でも特殊な性能を持つ、スポーツウエアや衣料用生地、インテリアカーテン、産業用資材生地等を開発する技術開発型メーカーとして基盤を確立。従業員数40名。代表者年齢:63歳。募集ポジション:幹部候補(事業マネージャー)。(http://amaike.jp/index.html)
特定非営利活動法人 野の花:障がい福祉サービス事業所(就労継続支援B型)「ゆうの丘」の運営
約10年前より、障がいを抱えた地域の方々やそのご家族に必要とされて共同作業所を運営。障がいを一人一人の個性として捉え、普通に暮らしていける地域社会の実現を目指す。本田雄志理事長は福祉関連における地域の第一人者。障がい者の経済的な自立を目指して、しいたけ栽培・クッキー製造・アルミ缶回収などさまざまな取り組みを実施している。2018年創業、従業員数14名。代表者年齢:73歳。募集ポジション:次期理事長候補。(http://www.yuunooka.or.jp/)
道田農園:一つ3,000円以上で売れる高級しいたけの生産・販売
価格も味もマツタケを超えるといわれる原木しいたけの品種「のと115」を使用して高級しいたけの生産と販売を行う。元は鳥取県で昭和60年代に開発された肉厚・大型の品種を用いて生産。手間ひまがかかり、難度が高い原木栽培は、生産者が激減しており、この技術を次世代に承継していきたいという熱い思いがある。2000年創業、従業員数3名。代表者年齢:73歳。募集ポジション:次期社長候補。
湯川温泉 龍王閣:日本温泉遺産に選ばれた、能登唯一の自噴泉掛け流しを味わえる温泉旅館
七尾市内の崎山半島の山合いにある温泉旅館。地下600mから湧く温泉を掛け流しで利用しており、能登唯一の自噴泉掛け流しを味わえる。質の高い泉質を誇り、県内で唯一、日本温泉遺産にも選ばれている。部屋数4部屋、1972年創業、従業員数4名。代表者年齢:77歳。募集ポジション:次期社長候補。
七尾市について
http://www.city.nanao.lg.jp/
七尾市は、北陸地方の西部に位置する、石川県能登地方の中心市。江戸時代から明治時代に北前船の海上交通の拠点として栄える。2004年に「港と温泉のまち 七尾市」「建具のまち 田鶴浜町」「演劇のまち 中島町」「観光の宝島 能登島町」の1市3町が合併し誕生。人口5.3万人。観光業、農業・漁業、食品加工業、繊維業が産業の中心。
七尾街づくりセンター株式会社について
https://www.nanao-lv.com/
七尾市と市内事業者が株主の第三セクターであり、中心市街地のまちづくりを目的に設立された。現在は、国の地方創生の一環として、七尾市のローカルベンチャー推進事業の事務局を運営。産業支援、移住支援を事業の柱としている。事業承継やビジネススクール・七尾市のポータルサイトの運営などに取り組む。
赤い部分が七尾市
求人検索エンジン「スタンバイ」について
https://jp.stanby.com/
「スタンバイ」は、正社員、アルバイト・パート、派遣社員など、国内の全業種・全職種・全雇用形態を対象に、職種・業種などの「キーワード」や「勤務地」を指定し、複数の求人情報サイト、企業サイト、ハローワーク等の800万件以上の求人を一括で検索できるサービスです。全雇用形態を対象にしているため、自分に合った仕事を効率的に探せます。
事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」について
https://br-succeed.jp/
「ビズリーチ・サクシード」は、株式・事業の譲渡を検討している経営者(以下、譲渡企業)と、譲り受けを検討している企業(以下、譲り受け企業)をつなぐオンラインプラットフォームです。譲渡企業は、ビズリーチ・サクシードに、会社や事業の概要を匿名で登録でき、譲り受け企業は、その情報を検索して閲覧できます。これにより、譲渡企業は経営の選択肢の一つとして事業承継M&Aを早期から検討できるため、経営者の選択肢が広がります。譲渡企業は、登録から案件成約時まで、本プラットフォームの利用料は無料です。そのため、コストを気にせず安心して利用できます。また、譲渡企業から相談を受けたM&A仲介会社や金融機関等も、同様に本プラットフォームを無料で利用できます。また、譲り受け企業は興味をもった譲渡企業へ直接アプローチできるため、譲渡企業にとっては、潜在的な資本提携先の存在や、自社の市場価値を把握するきっかけになります。2017年11月にサービスを開始し、2018年7月現在、掲載中の譲渡案件数は630件以上であり、事業承継M&Aプラットフォームにおいて日本最大級の案件数となっています(累計譲渡案件数は1,000件以上)。
※1 七尾市「データで見る七尾市の姿~平成28年度版~」 ※2 平成28年度総務省「個人企業経済調査」、平成28年度帝国データバンクの企業概要ファイルから推計中小企業庁「中小企業・小規模事業者政策について」(平成30年1月) ※3 経済産業省「中小企業・小規模事業者の生産性向上について」(平成29年10月) ※4 株式会社東京商工リサーチ「2016年『休廃業・解散企業』動向調査」
本件に関するお問い合わせ先
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