日本人の不動産評論家や投資家が良く言うのは、「オリンピック後、東京の不動産市況は腰折れする」、「これから日本は人口が減って空室も増え、不動産価値は下がる一方」といったような悲観論が多いですが、世界から見た日本(東京)は違った見解。 日本を含む世界各国の不動産投資コンサルティング事業を展開する当社では、どこの国に加担するでもなくあくまでも中立的なポジションから国際不動産マーケットを解説します。
つい先日、私はスペイン・バルセロナで、国際不動産業界のシンポジウムに出ていました。 ヨーロッパやアメリカを中心に、北はアイスランドから南はニュージーランド、南アフリカまで、世界各国から約70社が参加する大型イベントでしたが、百名を超える参加者全員を前に行われた「基調講演」の内容に、非常に驚かされました。その講演で言っていたのは、 – アジアでこれから面白くなる不動産マーケットは、ずばり「東京」。 – オリンピックを控えた東京ではエキサイティングなことが起こりつつある。 – 経済もようやく回復し、自信(Confidence)が戻りつつある。東京の不動産価値も直近で9.4%上昇中。 – しかも東京不動産は、同じアジアの香港やシンガポールと比べて割安感がある。 彼らの着眼点は、日本でよく聞く話とは真逆です。 日本人の不動産評論家や投資家が良く言うのは、「オリンピック後、東京の不動産市況は腰折れする」、「これから日本は人口が減って空室も増え、不動産価値は下がる一方」みたいな悲観論が多いですが、これに対して私が思うことは、 ・不動産に関して、日本全体と東京は明らかに違うマーケット。 ・日本国内での日本に対する意見は、日本しか見てないのに対し、世界の投資家は「グローバルな都市比較」の視点がある為説得力がある。 ・世界の不動産投資マネーは「国」よりも「都市」で動く面が大きい。同じアジアの香港やシンガポールよりも東京の不動産が安く購入でき、かつ、東京が都市機能的に劣らないのであれば、割安感を求めて資金流入は大いにありうる。 客観的にみて、東京が香港やシンガポールに都市として劣ることはありません。 都市圏人口・総生産、Fortune Global 500企業の本社数、都市総合力の世界ランキング、インフラ…現時点で東京は間違いなく、アジア・世界でトップ都市の一角に入ります。 JLL世界都市の類型をみても、東京は香港やシンガポールと同じく「世界のビッグ7」に入っています。
「アジアのスーパー世界都市」東京の都心部不動産価格に割安感があるのか、私の感覚的にいうと、 ・香港と比べれば、明らかに割安です。 ・シンガポールと比べれば、ほぼ同じ。ただ、シンガポールで外国人が不動産を購入すると約20%の印紙税がかかり、東京ではそれが無い分、割安に。 今年2月、私はシンガポール都心部で、Tanjong Pagar駅直結のタワマンWallich Residenceはじめいくつかのレジデンスを内見しています。当時の感覚値は、「シンガポール都心部レジの値段は、坪@700万円くらい」(22,000~26,000 SGD/Square Feet)だったので、いま東京の港区あたりで@700万円で同等物件が買えれば、少なくとも20%印紙税分は割安ということになります。 そこで、港区でお金持ちが買いそうなエリアのマンション在庫・成約価格を調べてみました。 そこで見えてきたことは、 ・港区の赤坂、南青山、虎ノ門といった一等立地で、出し値レベルでは坪@1000万円超のプレミア物件(虎ノ門ヒルズレジデンス、パークコート檜町ザ・タワー等)がいくつかあるが、プレミアでない通常の新築・築浅マンションだと坪@500~600万円台がせいぜい。 ・麻布十番、広尾、高輪、白金、南麻布エリアになると、地域トップ物件でも@700万円台いくかいかないか、その他は@500万円を切るレベル(その代わり、広尾あたりだと築が古くなっても値下がらないという副産物があるが…) つまり東京都心でも、超プレミア物件以外は高くてもせいぜい坪@700万円で、シンガポールのオーチャードや金融CBD地区とほぼ同等レベル、印紙税分だけ割安感あるように感じました。 香港などはシンガポールの倍みたいな世界だから、それと比べれば虎ヒルでさえかなりのバーゲンに見えてしまいます。 オリンピックを控えて世界の富裕層からの注目はさらに高まりそうです。 株式会社国際不動産エージェント 鈴木 学 http://ipag.jp/