人手不足への対応策も調査
株式会社東洋経済新報社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:駒橋憲一)が、全上場企業に対して今後の収益拡大策について調査したところ、過半数の企業が新規事業の育成と主力事業への集中投資を重視していることがわかりました。調査結果の詳細は、6月15日発売の『会社四季報2018年夏号』に掲載します。
調査対象は全上場企業3698社、有効回答企業は1201社(回答率32%)でした。数年後の業績目標となる中期経営計画を策定している企業には目標達成に向けて、策定していない企業には経営戦略上重視している収益拡大策を回答してもらいました。選択項目は「新規事業育成」「主力事業への集中投資」「海外展開拡大」「M&A積極化」「多角化」で、複数回答可としています。
それによると、回答数が最も多かったのは「新規事業育成」(636社)で、続く「主力事業への集中投資」(615社)とともに、半数以上の企業が収益を拡大するために重視していました。一方、「M&A積極化」(339社)、「多角化」(82社)を重視する企業は比較的少ないことがわかりました。事業環境の変化や技術の進歩に対応するため新規事業に対する意欲は強いものの、今後はこれまで活発に進めてきたM&Aで新たに取り込んだ企業や事業とのシナジー効果をいかに追求していくかという段階に入ったようです。
また、収益拡大に向けて多くの企業が頭を悩ませている人手不足への対応策についても回答してもらいました。選択項目は「労働環境・福利厚生の改善」「給与・賞与の引き上げ」「採用担当部門の強化」「人材紹介会社との連携強化」「シニアの再雇用・採用」です(複数回答可)。
最も多かった回答は「労働環境・福利厚生の改善」(725社)で、「給与・賞与の引き上げ」(437社)が続きました(有効回答1094社、回答率30%)。この結果から、上場企業の多くは待遇改善が人員確保の有効手段と判断していることがわかります。なお、「シニアの再雇用・採用」は99社にとどまっており、シニア世代の活用を後押している国と企業との間に温度差があることがうかがえます。